2025/02/02 13:26

「うんまっ!」

衝撃的だった。
初めて「のんびり農園日和」を訪れた時に、そこで作られたトマトを食べた感想だ。正直侮っていた。いくら元が農家とは言え、介護施設で作られる野菜だ。大き目の家庭菜園で作られる野菜を想像していただけに、衝撃的だった。試しに糖度を計ってみる。なんと驚きの10度。
一般的にトマトは糖度6度を超えれば甘いとされ、8~9度程でフルーツトマトと呼ぶ。作った本人はフルーツトマトを作った訳ではないとのことなので、更に驚きだ。わざわざトマトを切って出してくれる様な間柄でもなく、差し出されたトマトは丸ごとだった。その日収穫されたトマトがテーブルに並んでいた。無作為に差し出されたトマトを備え付けのキッチンで丸ごとかぶり付いていた。背後から彼がポツりと語り出す。
「介護と農業は相性がいいんだよ」

役割と責任

前回の記事で農作業が心身に与える影響について書いた。しかし、彼曰く、「介護と農業」で最も大切なのは「役割」と「責任」を与える事だそう。仕事の現役を退いた人が急に老け込んでしまうと言う様な話はよく聞く。農作業で身体を動かし、作物の育成を通じて役割と責任を与える。相手は作物。当然上手くいかない事もある。軽度なストレスは返ってやり甲斐になる。
そして出来た喜びを利用者や職員と共有する。そうする事で、老化防止や認知症の抑制にも繋がるのだと彼は話す。

果実と地方野菜

ひとしきり彼の話を聞き終えた後、彼に尋ねてみる。
「このトマト売らせてくれない?」
この言葉に彼は驚いた表情を見せた。
「これでいいの?」
彼の返答だ。
一応はこちらは高級果実専門店。
品質の心配から彼はそう言ったのだと思う。
だが、品質に関して言えば何の問題も無い。
果実専門店とは言え、長年果実の仕入はしてきた。
品物の目利きには、それなりのキャリアと自信がある。
彼自身の評価はともかくとして、バイヤー目線で言うなら、見た目、味、共に贈り物として使っても何ら遜色のない品質だ。
何よりもこのトマトが出来上がるまでのストーリーと彼の想いが魅力的だった。
はっきり言ってしまえば、ただ甘くて美味しいトマトを探す気になれば、探せる。しかし、これ程のストーリーを持ったトマトには中々出会えない。
既に近くのファーマーズマーケットには出荷していて、人気を集めている。近くにある子供食堂には不揃い品を無償提供もしている。そちらでも好評を得ているそうだ。
利用者の方にその事を伝えると大変喜ぶそうで、その表情を見る事が、彼自身のやり甲斐にもなっている。
その輪をもっと広げたい。自然と湧き出た感情だった。

「果実と介護と農業と」第2回
ここまで読んで頂き有難う御座います
この様な経緯からHashimotoFrutisで、「のんびり農園日和」産の野菜の取り扱いをする事になりました。
第3回では具体的な売り方や、私自身の新たな挑戦について書きたいと思います。少し毛色の違う内容になると思いますが、読んで頂ければ嬉しいです。